2011年03月24日

TRUE GRIT

説明しすぎないカメラワークの心地よさ。さりげな〜い背景も、人物にフォーカスされた遠近感も、フィルムのテクスチャーも。それから色も。す〜っと入って来たよ。カメラに近い視点で観れたからかな。思いっきり寄ったり、誰だかわからないよ〜ってくらい引いたり、横顔を眺めたり。一冊、読み終えたような。

それから俳優たち。間違いなくブリッジスはブリッジスで、デイモンはデイモンなんだけど、ブローリンもバリー・ペッパーも、他の作品で何度も観てる俳優なのに、誰だかわからないくらい物語の中に居た。ミラクル。すごいね、コーエン兄弟。だけどやっぱり今回も、過剰でしたよ(笑)。時々。この過剰さがたまらなく好き。今回も消える魔球のストレートでした。

西部劇だと言われれば確かにそうなんだけど、もはやファンタジー。っていうか、アドベンチャーでミステリーで、そして、ラブストーリー(!!!)。揺るぎないマティの意思が、それが物語。とにかくね、コグバーンを観てほしい。ほんとうのことって摩訶不思議。ほんとうのことってホラーだし、ミステリーだし、だから時々ファンタジーだったりするのね。ぜひ劇場で !!!

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余談だけど震災前直前に「東京国際ゾンビ映画祭」に行ったよ。
ん〜。ホラー満喫。でも時期が時期なので詳しい話はまた後日。
おすすめは「コリン」。ゾンビ好きは見逃すな〜。  
Posted by 真 at 11:40 |livedoor clip!
2010年05月14日

バートン・フィンク|コーエン兄弟

面白い!コーエン兄弟作品の中で一番好きかも。10年近く前の作品だけど時代感覚的ズレなく観れる一本。映画タイトルは主人公の名前なんだけど、フィンクには別の意味もある。作品の舞台は世界恐慌直後の1941年アメリカ。N.Y.で舞台の脚本家をしてるバートン。ハリウッドでの映画の脚本の執筆依頼がきて、L.A.のホテルに長期滞在して書き始めるのだが、全く筆が進まない。そんな中、隣の部屋の男チャーリーと知り合い親交を深めてゆくが…。

優しく親切なその隣人チャーリーが、実は怪物だった…。え〜っ。うっそ〜。って、後半になるにつれて、シュールさが加速どころか、も〜炸裂しちゃいます。映画の終盤、もはやホテルは戦火のよう。シューーール!これはバートンが見た夢ではないのか?とさえ思えてくる過激で過剰な現実が、映画としては面白いが安易に笑えない恐さもある。映画のラストがこれまたシュールな終わり方。史上初となるカンヌ主要三部門を制覇しただけあって、コーエン兄弟を代表する傑作!

コーエン兄弟「バートン・フィンク」原題:Barton Fink(1991年/アメリカ・イギリス/116分)
製作:イーサン・コーエン
監督:ジョエル・コーエン
脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
撮影:ロジャー・ディーキンス
音楽:カーター・パウェル
編集:ロデリック・ジェインズ(ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン)
出演:ジョン・タトゥーロ、ジョン・グッドマン、ジュディ・デイヴィス  
Posted by 真 at 12:00 |livedoor clip!
2010年05月08日

ファーゴ|コーエン兄弟

登場人物は全員、何かが欠落してるんです。コーエン兄弟お得意のそんなはずじゃなかった的展開のブラックなクライム・サスペンス。1987年冬のミネソタ。主人公が妻の偽装誘拐を計画し、二人組に誘拐を依頼するが… 大変なことに。グロいシーンはかなりグロいですが、ネガティブなものを遠ざけないコーエン兄弟の器のデカさを感じる一本。
人生の不思議さを描いた映画は世界中に数えきれないほどあるけど、コーエン兄弟のそれはジャームッシュと同じで厚かましくないのね。深刻であればあるほど可笑しい。恐い作品が多いけど、実は残酷なグリム童話みたいに、あっけらかんとした明るさがある。カメラのアングルが面白い。各国で絶賛されただけあって見応えある作品だがコーエン兄弟には他にたくさん傑作がある。

コーエン兄弟「ファーゴ」原題:FARGO(1996年/アメリカ/98分)
製作:イーサン・コーエン
監督:ジョエル・コーエン
脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
撮影:ロジャー・ディーキンス
出演:フランシス・マクドーマンド、スティーヴ・ブシェミ、
   ウィリアム・H・メイシー、ピーター・ストーメア  
Posted by 真 at 16:00 |livedoor clip!
2010年04月26日

コーエン兄弟|バーバー(2001年製作)

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり…。っていうか、ブラックでハードボイルドなクライム・サスペンス。原題を直訳すれば「そこにいなかった男」。なんとま〜虚無的なタイトル(笑)。この時点でもう映画は半分観たようなもの。邦題は「バーバー」ですけどね。ニーチェの言葉を借りるなら「人間的、あまりに人間的な」主人公のお話です。

1949年の古き良きアメリカ。主人公エドは小さな街の小さな床屋で働く無口な男。ある事をきっかけに彼の運命がとんでもない方向に転がり出す。映画は最初から最後まで、過去を振り返るように語るエドの独白が入って、徹底的にエド目線。ニーチェの「この人を見よ」よろしく“エドを見よ”と。そーゆーことらしい。いっそ邦題はそのまんま「エド」でよかったのでは。

主人公のエドは、どーしよーもなくエドで、エネルギーを秘めつつも台風の目のよう。そこだけ風ひとつ吹いてない。でもエドを中心に渦はどんどん大きくなって結末に向かって加速する。と同時にブラックさ加減も加速。そのブラックさ加減が、噛めば噛むほど効いて来る。そしてその効いて来た先が、行き止まりでも袋小路でもない。

映画なので、2時間ほどの時間をかけて、ある意味、遠回しに描かれているわけですが、彼らの作品からはいつも、非言語的なものをドーンと受け取る。しかもそれが直球だったりする。彼らは変化球の達人なのに、観終わった頃、どこからともなく重たいストレートが飛んでくる。その見えない魔球をバシッと受け取った時、手が痛いんだよね(笑)。コーエン兄弟、恐るべし。

コーエン兄弟監督作品「バーバー」原題:The Man Who Wasn't There
製作:イーサン・コーエン、ジョン・キャメロン
監督:ジョエル・コーエン
脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
撮影:ロジャー・ディーキンス
出演:ビリー・ボブ・ソーントン、フランシス・マクドーマンド、ジェームズ・ガンドルフィーニ
アメリカ/モノクロ/116分(DVDはカラー版もあり)

ちなみに、左の画像は米国版の宣伝用キービジュアル。
以下、予告編です。  Continue>>
Posted by 真 at 00:00 |livedoor clip!
2010年04月15日

コーエン兄弟|ノーカントリー(2008年日本公開作品)

観たかったのに観てない映画ってけっこうある。コーエン兄弟監督「ノーカントリー」。ま〜バイオレンスです。それもかなりの。バンバン死にます。ガンガン殺します。躊躇なく。有無を言わさず理不尽に。たぶん北野監督の「OUTRAGE」どころの騒ぎじゃないでしょう。ここに登場する殺し屋シガーは悪党とかワルとか極悪非道なんてもんじゃなく、善悪では測れない情緒ゼロの男。完全に逸脱してる。

物語りは、思いがけず手にした大金を持って逃げるベトナム帰りのタフなモスと、それを執拗に追うサイコな殺し屋シガーを中心に進む。そして少し距離を置いて2人を追う昔かたぎの保安官ベル。ベルは時代を憂いて諦め顔なんだけど、終盤で変わるんです。でもね、もうストーリーはあってないようなもの。逃げる追う逃げる追う。圧倒的な迫力で殺しながら追いつめてゆくシガー。もはやなぜ逃げるのかさえ解らなくなってくる。そしてテキサスという背景。そこに全てが飲み込まれてしまうかのよう。

モスとベルには優しい妻がいる。殺されてゆく善良な市民。そこには普通のアメリカがある。だが人物の個人的背景はほぼ描かれず、余計な説明は一切なし。すごい緊迫感で観てて疲れるんだけど、シガーがあまりに超絶すぎてもう釘づけ。残酷なはずなのに観てるうちに抽象的に思えてくる。中途半端な暴力は無く中間が無い。次の瞬間もう死んでいるのだ。その前置きのないバイオレンスの奥から非言語的なものをドーンと受け取る。かなり好きです。高級な映画だと思う。

コーエン兄弟監督作品「ノーカントリー」DVD原題:No Country for Old Men
原作:コーマック・マッカーシー『No Country for Old Men(血と暴力の国)』
製作:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン、スコット・ルーディン
監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
撮影:ロジャー・ディーキンス
美術:ジェス・ゴンコール
出演:トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン

ノーカントリー Japan Official >>


血と暴力の国 (扶桑社ミステリー)←原作本:血と暴力の国 (扶桑社ミステリー)


以下、予告編です。  Continue>>
Posted by 真 at 00:00 |livedoor clip!