2010年06月02日

ブエノスアイレスの夜|フィト・パエス

過去を忘れて人生をやり直す。な〜んてことではなく、強引だろうが何だろうがぜんぶ引きずって泣きながらガンガン進むのね。人生はそもそも悲劇なのだと。そんなタフさと大らかさで、愛を手がかりにそこから抜け出そうとしてるうちに、人生終わっちまうぜ、みたいな。スペ語圏独特の人生讃歌とも言える作品。

この作品の背景にあるのは実際に軍事政権下のアルゼンチンで10年続いた弾圧なんだけど、その悲劇を20年後に舞台を移して、今を生きてる主人公の個人的な愛の物語りとして描いてるのね。過酷な経験から誰も愛せなくなった主人公カルメンと軍人を父に持つ青年グスタボが、依頼主と高級男娼として出会って、惹かれ合い愛を再生させてゆくが、話はそう簡単ではないわけ。

カルメンの過去に一体何があったのか、映画の後半まで語られないんだけど、そのなかなか解らない感じが抑圧されたカルメンと重なりつつ話は進み、解る頃にはもう、それが重要な要素ではなくなってるのね。過去の事実は事実として消えないのだけども、彼らを “犠牲者” として描いてないわけ。原題を直訳すると「私生活」なのね。

カルメンが映画の最後で「そう悪くない結末だわ」と呟くんだけど、その表情が暗くも明るくもなくて、何とも説明しようのないフラットさ加減なの。過去と未来がそこに集約されてるような、えも言われぬ説得力なんだよね。ぎりぎりなの。切羽詰まってるとかじゃなくてね。ぎりぎりなわけさ。

VIDAS PRIVADAS|ブエノスアイレスの夜|セシリア・ロス、ガエル・ガルシア・ベルナル原題:Vidas privadas(2001年/アルゼンチン・スペイン/105分)
監督:フィト・パエス
脚本:フィト・パエス、アラン・パウエル
撮影:アンドレス・マッソン
音楽:フィト・パエス、ヘラルド・ガンディーニ
製作:マテ・カンテロ、ステファン・ソーラ
制作総指揮:フィト・パエス、アレハンドロ・クランシー
出演:セシリア・ロス、ガエル・ガルシア・ベルナル
配給:アット・エンタテインメント

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